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【イベント報告:トークイベント「進化するフィリップ・ドゥクフレ――これまでの活動の軌跡から『わたしは真悟』まで」】

【イベント報告:トークイベント「進化するフィリップ・ドゥクフレ――これまでの活動の軌跡から『わたしは真悟』まで」】

ファンタジックで奇想天外な「ダンス」を創造しつづけている振付家フィリップ・ドゥクフレ。2016年10月には東京・名古屋でピナ・バウシュへのオマージュとして制作された『CONTACT―コンタクト―』(2014年)が日本初演され、2017年1月には振付家として参加しているミュージカル作品『わたしは真悟』が東京などで初演される。日仏演劇協会では、この連続上演の機会に、ダンス研究者の越智雄磨氏とドゥクフレの横断的な活動を振り返り、現在稽古中の『わたしは真悟』の制作エピソードについてプロデューサーの篠田麻鼓氏からお話しをうかがうトークイベント「進化するフィリップ・ドゥクフレ――これまでの活動の軌跡から『わたしは真悟』まで」を開催した。

まず、越智雄磨氏はドゥクフレの父親が高名な未来学者であるというエピソードから切り出した。父アンドレ=クレマン・ドゥクフレの著作は、白水社クセジュ文庫にも邦訳が入っているが(『革命と反革命』、1969年)、その研究内容は少なからずドゥクフレの空想的な表現に影響を与えているという。マルセル・マルソーにサーカスを学び、1983年にバニョレ国際振付コンクールで賞を受けたドゥクフレを一躍有名にしたのは、何といっても1992年のアルベールビル冬季オリンピックの開閉幕式の総合演出である。その後もドゥクフレは国立舞踊センターのディレクターに就任する道は選ばず、コマーシャル、映像作品、ミュージカル、キャバレーなど多様な活動を展開してフランス国内で高い知名度を誇っている。

トークでは、アルベールビル五輪の開幕式の映像のほか、代表作である『CODEX』や埼玉などでも上演される『コンタクト』の映像も流しながら、過去の作品を振り返った。『CODEX』は、イタリアのグラフィック・デザイナーであるルイージ・セラフィーニが、1981年に出版した架空の百科事典を着想源としている。書物自体が架空の人工言語で書かれている『コデックス・セラフィニアヌス』には、奇妙な動植物や建築物などが挿絵とともに描かれ、独自の世界観を生み出しているが、越智氏は自身の蔵書を持参して来場者に回覧をしてくれた。

後半は、篠田麻鼓氏よりドゥクフレ作品とご自身の関係を出発点として、『わたしは真悟』の制作エピソードを語ってもらった。篠田氏は入社前、沢田研二主演のミュージカル『DORA 100万回生きたねこ』でドゥクフレ作品に触れ、入社後の2006年に初のソロ・パフォーマンス『SOLO』(天王洲銀河劇場)の制作に携わった。ふたりの深い絆は公演終了後もつづき、日本の漫画が好きなドゥクフレに篠田氏がさまざまな原作の提案を行ったところ、最終的に決まったのが楳図かずおの『わたしは真悟』だった。これが選ばれた背景には、いつかロボットが登場する作品をつくると約束をした亡き父アンドレ=クレマンに対する敬意と愛情があったそうだ。

現在、ドゥクフレは横浜での『わたしは真悟』の稽古に立ち会い、楽しい現場となっているという(とくにダブル主演を務める高畑充希と門脇麦には夢中であるらしい)。最初から決められた振付を単に割り振っていくのではなく、誰かのやった面白い動きを利用して振付を増殖させていくのが、ドゥクフレの作業であるというのは、面白い指摘であった。日本人であれば余韻を残すような場面を笑いに変えてしまったりと振付の突飛さには篠田氏自身も驚くという。いまからどのような作品になるのかが楽しみである。

会場には、彩の国さいたま芸術劇場の舞踊担当プロデューサーである佐藤文子さんも駆けつけてくださり、ファウストを題材にした『CONTACT―コンタクト―』にも話題は広がった。ダンサーたちが楽器を弾き、台詞を喋り、そしてユーモラスで洒脱な踊りを行う本作も上演が待ち遠しい。トーク終了後は、会場に集まった二〇名程度が互いにドゥクフレについて語らうなど、ワインを片手に楽しい歓談の時間となった。参加いただいた皆さまにはこの場を借りて感謝申し上げたい。(報告:堀切克洋)

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「進化するフィリップ・ドゥクフレ
これまでの活動の軌跡から『わたしは真悟』まで」

日時:2016年10月20日(木)19時30分〜21時00分
会場:室伏鴻アーカイブカフェSHY(早稲田駅徒歩5分)
スピーカー:越智雄磨(早稲田大学演劇博物館助手)
      篠田麻鼓(ホリプロ公演事業部)
司会:堀切克洋(演劇批評家、千葉大学・慶應義塾大学講師)
主催:日仏演劇協会(http://sfjth.strikingly.com/

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