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竹中香子講演会「フランスで舞台に立つために必要なこと:フランス語、演劇学校、そしてプロフェッショナリズム」

竹中香子講演会「フランスで舞台に立つために必要なこと:フランス語、演劇学校、そしてプロフェッショナリズム」

昨年フランスの演劇学校を卒業し、フランスで本格的に舞台女優として活動をはじめた竹中香子さんの講演会が8/28(月)に飯田橋のアンスティチュ・フランセ東京のエスパス・イマージュで行われました。

会場には約60名の聴衆が集まっていました。まず壇上に用意されたテーブルに行き、テーブル上に用意されたマイク越しに竹中さんを簡単に紹介したあと、竹中さんを舞台上に呼びだしました。ところが竹中さんは中央に用意されたテーブルに行くことなければ、マイクも手にしません。「こんばんはー」と愛想良く言いながら、彼女は舞台の上手側に立ち、その後ずっと立ったまま、マイクなしで話始めたのです。それは講演と言うよりは、ソロのパフォーマンスのようでした。まるで舞台に立っているかのように、彼女は立ち歩き、優雅で豊かな身振りと表情で、自由闊達に率直に自身を語りました。「ああ、俳優というのは観客を前にすると、こういう語り方、こういう自分の見せ方をすることができるんだ」と私は感嘆しました。彼女はその魅力的なパフォーマンスで聴衆を魅了しました。

約1時間にわたって竹中さんは、彼女のフランスでの演劇生活について語りました。ほとんどフランス語が話せない状態でのパリの区のコンセルヴァトワール(演劇専門学校)の受験、コンセルヴァトワールで学んだこと、モンペリエ国立高等演劇学校の入試準備と学校での教育、ギヨーム・ヴァンサンの公演の全国ツアーへの参加、そしてピンチやスランプに陥った体験など。

1時間のフランス演劇生活についての「パフォーマンス」の後、彼女はようやく椅子に座り、その後、約1時間にわたって会場の聴衆との質疑応答がありました。

講演会のタイトル「フランスで舞台に立つために必要なこと」が実際には何も語られていないのではないか?という質問がありました。フランスに知己もいない、フランス語はウィ・ノンしか言えないような若い女優が、難関の国立高等演劇学校入試を突破し、3年間の課程を修了後すぐ、気鋭の演出家の作品の全国ツアー公演に出演する。「そんな夢のような成功をどうやって得たのか、その秘訣のようなことは何も話していないではないですか?」とその質問者は言いたかったようです。重大な局面で彼女を助け、支える人たちが登場したことは彼女は話しましたし、フランスで経験した挫折をどう乗り切ったかについても話していました。しかしそれらは言ってみれば特に特殊なエピソードというわけではありません。「えーっと、一応、私がやってきたことは、フランス語の苦労とかも、話したつもりなんですけど」。彼女もこの質問にはっきり回答できなかったように思います。

しかし単身でフランスに乗り込んだ日本人女優が「フランスで舞台に立つために必要なこと」は、講演会での彼女のパフォーマンスから感じられる圧倒的なエネルギーによって、会場の聴衆にはしっかりと伝わっていたのではないでしょうか? 彼女は自分の弱点をしっかりと見据え、それとどうやって折り合いをつけていくのか考え抜いています。彼女は自分を魅力的に見せる演出術を心得ています。海外の舞台に立ち、他者と対峙し、他者を魅了するには、彼女が今日の講演で見せたような強かさこそ必要であることが、聴衆は感じとることができたように思います。

(日仏演劇協会 片山幹生)

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